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2016年08月11日 12時09分14秒 | リオデジャネイロ五輪
リオデジャネイロ五輪 波乱の幕開け 競技場の全貌




リオデジャネイロ開幕 
 南米で初めて開催されるリオデジャネイロ五輪(リオ五輪)、8月5日開幕した。
 オリンピックは8月5日(金)から8月21日(日) の17日間、パラリンピックは9月7日から9月18日の12日間、ブラジル・リオデジャネイロで開催される。
 オリンピックには史上最多の205の国と地域から約1万が参加、国際オリンピック委員会(IOC)が今大会で初めて設けた「難民選手団」の10選手も出場した。またIOCから資格停止処分を受けているクウェートの選手は個人資格での出場となった。
 開催される競技数は、ゴルフと7人制ラグビーが新たに加わり、28競技、306種目となった。
パラリンピックは新たにカヌーとトライアスロンが加わり、22競技528種目が行われ、過去最多の176カ国・地域から選手約4350人が参加予定だ。
 競技会場は、サッカー以外は全てリオデジャネイロ市内で行われ、マラカナン、バーラ、コパカバーナ、デオドロの4つの地区で開催されている。開会式と閉会式は“サッカーの聖地”と言われているマラカナン競技場で行われる。サッカー王国、ブラジルらしい開催計画だ。バーラ地区に建設中のオリンピック・パークには、水泳や体操、バスケットボール、テニス、柔道、選手村、メディア施設など多くの施設が整備される。建設工事の遅れで、オリンピッ開幕まで間に合うのかという懸念がされていたが、なんとか工事は間に合ったようである。しかし市街地とオリンピックパークを結ぶ地下鉄の完成はわずか4日前の8月1日、世界各国の選手団を迎える選手村はトラブル続き、オーストリアの選手団は一時、入村を拒否する事態となった。 また開会式直前には市内各地で五輪開催に反対するデモが起きるなど“波乱”含みのスタートとなった。
 しかし、競技が始めれば、そんなトラブルとは関係なく、熱戦が繰り広げられている。序盤戦では、男子400メートル個人メドレーで萩野公介選手、男子体操(団体)、男子73キロ級で大野将平選手、続いて男子体操(個人総合)で内村航平選手、柔道女子70キロ級で田知本遥選手、柔道男子90キロ級のベイカー茉秋と金メダルが続いている。メダル獲得数も早くも2けたに乗り、史上最多の38個(金7、銀14、銅17)獲得した2012年ロンドン五輪に近いペースで、日本勢は好調なスタートを切った。これからリオデジャネイロ五輪(リオ五輪)では、どんな名場面を繰り広げてくれるのか、日本選手の活躍はどうなるのか、今年の夏は楽しみである。









リオデジャネイロ五輪開会式OCOG Rio2016

ギリシャ・オリンピアで行われた五輪聖火採火式 出席できなかったルセフ大統領

五輪発祥の地 ギリシャ・オリンピアで行われた五輪聖火採火式(2016年4月21日)巫女姿のギリシャの女優のカテリナ・レホウが太陽光を使って火を起こして採火した。(出典 IOC)


ブラジル国内の聖火ランナーの第一走者に聖火を渡すルセフ大統領 ルセフ大統領は開会式には欠席(出典 Rio2016)

 2016年4月21日、リオデジャネイロ五輪の聖火の採火式が、オリンピック発祥の地、ギリシャの神殿跡で行われ、3か月余りにわたる聖火リレーが始まった。
 聖火はギリシャ国内でリレーされた後、ブラジルに運ばれ、5月3日に首都ブラジリアを出発し、300以上の自治体を回り、開幕前日の8月4日にリオデジャネイロ入りする予定である。
 採火式には当初、ブラジルのルセフ大統領が出席を予定していたが、政府会計の不正操作疑惑を巡って同氏の弾劾手続きが進んでいることなどから、取りやめとなった。

 採火式の直前、4月17日、ブラジルの連邦下院議会は、ルセフ大統領を弾劾すべきだとする決議を可決し、引き続き上院でも可決され、ルセフ氏は180日間の職務停止に追い込まれた。弾劾裁判の決定は8月上旬のリオデジャネイロ五輪開催中に行われる見通しで、五輪開催期間中に大統領が失職するという前代未聞の事態が起きることが現実味を帯びてきた。
 ルセフ氏は「私は逮捕もされていないし、罪を犯した証拠もない」と潔白を主張。職務停止に追い込まれたルセフ氏に代わって大統領代行となったテメル氏を「陰謀をたくらむリーダー」と批判し、徹底抗戦の姿勢だ。
 一方で、ブラジルの世論は分裂し、各地で市民がルセフ大統領への応援と抗議のデモが行われ、五輪開催を控えたリオデジャネイロ市でも44万人以上が参加したとされている。
 ブラジルの政治状況はさらに混迷を深め、五輪開催ムードは消し飛んでいる。


混迷加速 ブラジル 五輪開催に暗雲
 ところが、オリンピックの初の南米開催という“栄誉”を手に入れたブラジルは混迷を極め、大会が本当に無事開催されるのか、未だに危ぶむ声が消えない。
 世界経済の失速で資源価格が暴落し、ブラジル経済が“崩壊”寸前だ。
ブラジルレアルは、2015年9月下旬、1ドル(US)=4.1783レアルと史上最安値を更新、年初から36.4%の下落率となった。主要新興国で最悪の下落率である。
 2015年7~9月期の国内総生産(GDP)の実質経済成長率は、前年同期比で4.5%と大幅に減少した。マイナス成長は6四半期連続。1996年に現行調査を始めてから、最大の落ち込み幅だったという。
2015年9月、スタンダード&プアーズ(S&P)はブラジルの債務を「ジャンク(投機的)級」に格下げした。さらに2016年2月、「ジャンク(投機的級)」の領域でさらに1段階引き下げ、これまでの“BB+”から“BB”とした。またブラジルの格付け見通しを「ネガティブ」に指定した。“BRICS”の一翼を担い、世界から脚光を浴びていたブラジル経済の面影は消え去ってしまった。
 2016年になって、ブラジルの最大の貿易相手国である中国経済の失速が深刻な影響を与えている上に、与党議員らが絡む汚職問題で政治も混迷を深め、ほとんど機能不全、経済の低迷に拍車をかけている。ブラジルの復活の兆しはまったく見えない。
 加えてジカ熱の問題が浮上した。2016年1月、世界保健機関(WHO)は感染症のジカ熱が「爆発的に拡大」しており、アメリカ大陸で300─400万人が感染する恐れがあると警告した。ジカ熱の最も感染が拡大しているブラジルで、感染者数は今後150万人に上る可能性があるという。
 ゴルフの松山秀樹選手は、ジカ熱問題を理由に五輪出場を辞退、世界各国の有力ゴルフ選手も出場辞退が相次いでいる。
 6月、世界保健機関(WHO)の専門家チームは、ブラジルでの夏季五輪開催の影響でジカ熱がさらに世界的に広がるリスクは「非常に低い」との見解を示した。リオデジャネイロ五輪の開催都市を含め、ジカ熱感染がみられる国、地域、および領地への渡航や貿易について「一般的制限を設けるべきではない」とする先に示した見解を改めて確認し、リオデジャネイロ五輪開催懸念への沈静化を図った。しかし、ジカ熱への不安は一向に収まる気配はない。
 オリンピック観戦で訪れる海外からの観光客に相当の影響が出そうだ。国内経済の混乱も伴って、入場券の売り上げも伸び悩んでいるという。
 あれこれ難問を抱えて“リオデジャネイロ五輪”は開幕した。


深刻 五輪を揺るがすドーピング問題
 2016年6月21日、国際オリンピック委員会(IOC)は、スイス・ローザンヌで国際競技団体など関係者を集めた「五輪サミット」を開き、組織的なドーピング(禁止薬物使用)違反でロシア陸上競技連盟を資格停止処分にした国際陸上競技連盟の決定を支持した。ただし、個々の選手に対しては条件付きでリオデジャネイロ五輪への参加を認めた。国際陸連が認めたドーピングに関与していない国外拠点の選手、またはスポーツ仲裁裁判所(CAS)が潔白であると認めた場合はロシア選手団として出場が可能で、完全に排除される事態は当面避けられた。
 IOCのバッハ会長は記者会見で、違反が相次ぎ、世界反ドーピング機関(WADA)から国内機関が「不適格組織」とされたロシアとケニアを「この2カ国の選手は深刻な違反の疑義がある」と指摘して、ロシアとケニアの全競技の選手に国外のドーピング検査を義務づけ、反ドーピング対策の強い姿勢を示した。
 2016年7月18日、世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査チームは、ロシアが国家主導の組織的なドーピングを行っていたことを明らかにする報告書を発表した。
 報告書の中で、WADAは国際オリンピック員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に、リオデジャネイロ五輪にはロシアオリンピック委員会が登録した選手全員のエントリー禁止を検討すべきだと勧告した。またリオデジャネイロ五輪を含む国際大会からロシア・オリンピック委員会や政府関係者を排除すべきとしたという。
 報告書によると、ロシアは2012年のロンドンオリンピックと2014年のソチオリンピックを含む2011年後半から2015年8月までの4年間、五輪競技の大半で国家主導のドーピングが計画、実行されたという。この国家的ドーピングはロシアスポーツ省が選手たちから提供された尿サンプルの操作を指揮、統括し、監督していたと指摘した。これに対してプーチン大統領は「政治の介入」強く反発した。
 7月21日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、国際陸上競技連盟のリオデジャネイロ五輪への出場禁止処分を不服としたロシア・オリンピック委員会と同国の68選手らの訴えを棄却する裁定を発表した。
 7月24日、CASの裁定を受けて、国際オリンピック委員会(IOC)は、電話会議による緊急理事会を開き、ロシア・オリンピック委員会を資格停止処分とはせず、選手には一定の条件を課して、リオデジャネイロ五輪に出場できることを決めた。条件を満たしたロシアの選手は、“ロシア選手団”として出場する道は残した。条件を満たしているかは、各国際競技団体が個別に判断に委ねるとした。
 IOCが課した条件は、ロシア国内でのドーピング検査だけでなくロシア国外で受けた信頼性のある検査をクリヤーすること、過去に一度もドーピングで処分を受けていないこと、国際陸上連盟以外の27の国際競技団体が独自のルールで出場を認めた場合などとしている
 国際陸連はすでにロシア選手の67人(クリシナ選手を除く)、全員の出場を認めないと決定している。今後各競技団体で個別に決定されていくが、出場を認めらるロシア選手の人数は極めて限定的となり、ロシアにとっては極めて厳しい内容となった。
 開催10日余りになって、ドーピング問題はリオデジャネイロ五輪大会を根底から揺るがす大問題に発展している。


 
リオデジャネイロ OCOG Rio2016

オリンピック・パークを中心に開催されるリオデジャネイロ五輪

 リオデジャネイロ五輪の競技場は、マラカナン地区(4競技場)とコパカバーナ地区(競技村 4競技場)、バーラ・ダ・チジュッカ地区(オリンピック・パーク 15競技場)、デオドロ総合会場(9競技場)の三つに地区に整備された合計32の施設が使用される。この内、15の競技場は既存の競技場を使用し、17の競技場を新設する。開会式・閉会式、サッカーは、収容人数9万人のリオデジャネイロの市街地にある既存のサッカー競技場(Maracanã Stadium)で開催し、陸上競技は、同様に既存の陸上競技場(The João Havelange Stadium) を改修し、収容人数を 4万5000人から 6万人に拡張して開催する。


開会式・閉会式・サッカーが開催されるMaracanã Stadium リオデジャネイロ五輪招致ファイル

 マラカナン地区では、サッカーや陸上、バレーボール、アーチェリーなど、コパカバーナ地区では、トライアスロン、ビーチバレー、自転車ロードレース、セーリング、カヌーやボート競技、バーラ地区では、水泳競技やホッケー、テニス、柔道、バスケットボール、格闘技、卓球、体操などの競技が行われる。またIBC/MPC関連施設や選手村なども設置される。デオドロ地区はフェンシングや射撃、馬術、近代五種などが行われる予定だ。
またサッカーの予選は、サンパウロなど5か所の都市の競技場で行われる。
開催される競技数は、ゴルフと7人制ラグビーが新たに加わり、28種目306競技となった。
リオデジャネイロの中心部や3つのゾーン間の交通アクセスは、海岸沿いの湾岸道路や橋の改善計画、都市交通システム(BRT)の新設、地下鉄延長(6駅新設)や路面電車網などの整備などで確保する計画である。
 リオデジャネイロ組織員会では、五輪には206の国と地域から、10,500の選手が参加するとしている。



競技場の配置 図作成筆者

新たに整備したメイン会場・オリンピック・パーク


オリンピック・パークの完成予想図 Municipal Olympic Company

 リオデジャネイロ五輪のオリンピック・パークは、中心地から西へ20キロメートル、ハカレパグア湖(Lagua de Jacarepaggua)に面したバーラ・ダ・チジュッカ(Barra da Tijuca)地区に、広さ約118万平方メートル、東京ドーム25個分の広大な敷地に建設されている。体操競技場(Rio Olympic Arena)、自転車競技場(Velodrome)、テニス・センター(Olympic Tennis Center)、そして3つの競技場で構成されるカリオカ・アリーナ(Carioca Arena1-2-3/ Olympic Halls)が整備され、バスケットボール(Carioca Arena1)、柔道、レスリング(Carioca Arena2)、テコンドー、フェンシング(Carioca Arena3)の競技が開催される。そしてハンドボール競技場(仮設 Future Arena)、水泳競技場(水球も開催)(Olympic Aquatics Stadium)や、IBC/MPC、選手村(Athletes Accommodation 約1万室 1万8000人宿泊可能)、スポーツ研究所、ウエルカム・センター、事務棟、駐車場なども整備される。
 パーク内には、既存施設として、2007年のパン・アメリカン競技大会開催で建設された室内競技場(現HSBC Arena)があるが、これを改修し、オリンピック・アリーナ(Rio Olympic Arena)として、五輪の体操、新体操、トランポリンの競技場として使用する。五輪後はスポーツ関連のビックイベントや文化イベント、コンサートなどに利用する計画で、施設の管理はリオデジャネイロ市が担当する。
 また同様にパン・アメリカン競技大会で建設されたアクア・パーク(Maria Lenk Aquatic Park)は小規模な改修が行われ、リオデジャネイロ五輪の飛び込みとシンクロナイズド・スイミング、水球の競技場として使用される。

 このオリンピック・パークの敷地は、かつてカーレース場(Jacarepaguá Race Track)があったが、デオドロ地区(Deodoro)に移転させて新たに建設した。

 オリンピック・パークでは、オリンピックは、バスケットボール、柔道、テコンドー、レスリング(グレコローマン・フリースタイル)、ハンドボール、テニス、自転車、飛び込み、水球、競泳、シクロナイズ・スイミング、体操、新体操、トランポリンの16競技種目が開催される。
 またパラリンピックは、車いすバスケットボール、ラグビー、サッカー、ボッチェ、柔道、バレーボール、ゴールボール、車いすテニス、自転車、競泳の10競技種目が開催される。



写真 Rio2016 OCOG 図作成筆者

民間パワー活用 公民連携スキーム(PPP)
 オリンピック・パークの整備プロジェクトは、公民連携スキーム(Public-Private Partnership /PPP)で行われ、入札が行われた。その結果、建設会社3社(Norberto Odebrecht / Andrade Gutierrez、Carvalho Hosken)の共同企業体、“Rio Mais Group”が受注した。
 PPPスキームでは、競技場の建設費は、国の財源で負担し、五輪開催後は施工を担当する“Rio Mais Consortium”が運営を請け負うことが決められている。 
五輪の施設整備を担当するリオデジャネイロ都市開発公社やPPP事務局は、PPPスキームに基づき、“Rio Mais Group”を指導・監督して、プロジェクトを推進する。
但し、3つのアリーナで構成されるカリオカ・アリーナ(Carioca Arena/ OTC Halls)とIBC/MPC、メディア用ホテルは、   “Rio Mais Consortium”が、建設費も負担して施工し、五輪後は運営を担当する。“Rio Mais Consortium”が負担する経費は合計1,678万レアル(約528億円)としている。
建設費は政府や開催都市が負担し、五輪開催後の運営を委託するPPPスキームとは切り離して、コマーシャル・ベースで施設を建設することで、国や開催都市の負担を軽減させるスキームである。
五輪開催後は、オリンピック・パークに新たに建設される競技施設、カリオカ・アリーナ(Carioca Arena)やテニス・センター、ベロドーム、水泳競技場(Maria Lenk Aquatic Park)は、オリンピック・トレーニング・センター (COT)として再編成され“Rio Mais Group”が運営することになる。



Rio Estaio Joao Havelange(Athletics) Maracana地区 OCOG Rio2016


Rio Estaio Joao Havelange(Athletics) Maracana地区 OCOG Rio2016


Carioca Arena1/2/3 Velodrome Tennis Stadium Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Carioca Arena1 (Basketball) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Carioca Arena2 (Judo/Wrestling) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Carioca Arena1 (Taekondo/Fencing) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016




Velodrome Olympic Park(Bara地区) Roi Media Center




Olympic Tennis Centre Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Future Arena (Handboll) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Maria Lenk Aquatic Center((Diving/Synchronized Swimming/Waterpolo) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016
国際競技団体からの再三の要望にもかかわらず、経費節減で屋根は設置せず。8日から9日に一夜にしてプールの水が緑色に変わり騒動に

Maria Lenk Aquatic Center (Diving/Synchronized Swimming/Waterpolo)) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Olympic Aquatics Stadium (Swimming/Water Polo) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Olympic Aquatics Stadium (Swimming/Water Polo) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Rio Olympic Arena(Gymnastics artistic/rhythmic/trampoline) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016


Hockey pitches Deodoro地区 OCOG Rio2016




Dedoro Olympic Park Canoe Slalom course and BMX track (back left). Along with the Mountain Bike course Deodoro地区 OCOGRio2016


Olympic Golf Course Barra地区 OCOGRio2016


Beach Valley Copacabana Beach


Guanabara Bay (Sailing) Copacabana地区 OCOGRio2016


Rowers and canoeists Lagoa Stadium Copacabana地区 OCOGRio2016


Olympic Village(選手村) Olympic Park(Bara地区) OCOG Rio2016



五輪メディア戦略の中核 IBC/MPC関連施設


IBCの完成予想図


完成したIBCの建物 Rio2016 OCOG


完成したIBCの建物の内部 Rio2016 OCOG

  IBC/MPC関連施設は、オリンピック・パークの中に建設され、総床面積約110,000平方メートルは巨大な施設で、その内、IBCが約85,000平方メートル(完成予定 2015年第3四半期)、 MPCが約27,000平方メートル(完成予定 2015年第4四半期)を使用する。
 IBCには、世界各国のオリンピックの放送権を持つテレビやラジオ局関係者が約10,000人の参加が見込まれ、コントロール・ルーム、伝送設備、スタジオ、メディア・ブースなどが設置される。またMPCには新聞、雑誌、インターネットなどのメディア人が参加し、競技結果などの情報提供をするインフォーメーションデスクや電話、インターネットなどが整備され、約6000人が参加予定だ。IBC/MPCの共用施設として、会議室、レストラン、銀行、郵便局、トラベル・エージェント、コンビニなども設けられる。IBC/MPCは、24時間体制で運営される。
 併設してメディア関係者宿泊用の400室の国際ホテルも建設される。
 2015年11月8日、IBCの建物が完成し、建設を進めていたリオデジャネイロ市からリオデジャネイロ五輪組織員会に施設が引き渡された。以後、IBCのシステムを担当するOBS(Olympic Broadcasting Services )がシステムの設営作業を開始する。


五輪初の民間資金でIBC/MPCを建設
  IBC/MPC関連施設の整備は、オリンピック史上初めて政府の財源を使わない画期的なスキームで行われる。政府資金は使用しない。
 財源は、公民連携スキーム(Public-Private Partnership /PPP)の民間資金で賄わられ、大会終了後の運営も、民間に委ねられる。このプロジェクトは競争入札にかけられ、受注した民間の建設会社が、財源を確保して、建設工事を行い、五輪後の運営の責任を持つ。
当初計画では、IBC/MPCの建設費は、全額PPPスキームで民間企業が負担する予定だったが、空調設備や発電機の工事で巨額の経費増が発生し、リオデジャネイロ五輪組織員会が空調設備の2億レアル(約76億円)、州政府が4000万レアル(約15億円)を新たに負担することで合意した。
 その結果、現在のIBC/MPCの総建設費は、総額6億4000万レアル(現在の為替レート 約242億円)膨れ上がり、その内PPP(Package of Public-Private Partnership)スキームで民間企業の負担額は約4億レアル(約152億円)、組織委員会と州政府の負担額が2億4000万レアル(約90億円)となっている。
建設費を巡っては難題が次々と発生しているが、基本的にIBC/MPCのレガシーは、PPTスキームで担保されるのである。巨額の経費が必要で、巨大な施設となるIBC/MPCは、建設費の負担と大会後の施設をどう維持するのかが重要な課題である。リオデジャネイロ五輪の計画では、この課題をPPPスキームを採用することで解決しようとしている。
 リオデジャネイロ五輪のIBC/MPCは、五輪開催後、改装して国際会議センターや展示ホール、エギジビション・ホールなどで利用するとしている。五輪開催後の運営を担う“Rio Mais Consortium”の手腕が問われている。



MPC Rio2016 OCOG

リオデジャネイロ五輪開催経費
 リオデジャネイロ五輪組織員会(OCOG)の予算は、合計28億2000万ドル(約3380億円)で、これには投資的な経費は含まれていない。
主な支出は、競技場運営経費が6億8500万ドル(約822億円 約24%)、運営人件費3億4200万円(約410億円 約12%)、技術費4億8800万円(約586億円 17%)、予備費2億4400万ドル(約293億円 9%)などである。
収入は、トップ・スポンサーシップ収入が約31%、国内スポンサーシップ収入が約20%、入場券販売が約14.4%などとしている。
 なお、公的機関は、入場券の価格が余り高額にならないように抑制するためやマーケッティングの促進のためにOCOGの経費の約25%の補助金を拠出することを決めている。
 リオデジャネイロ五輪組織員会(OCOG)の経費に含まれていない投資的経費総額は111億ドル(約1兆3320.億円 382億レアル)で、この内、空港や道路、鉄道の交通インフラ整備に55億ドル(約6600億円)、環境整備に12億ドル(約1440億円)、電力整備に7億7000万ドル(約924億円)、セキュリティに8億1300万ドル(約976億円)としている。
さらに競技場整備に4億79000万ドル(約575億円)を負担し、この内、選手村建設費に4億2700万ドル(約512億円)、メディア・ビレッジ(メディア用の宿泊施設)に8億1200万ドル(約974億円)、IBC/MPCに2億300万ドル(約244億円)を充当するとしている。
(出典 リオデジャネイロ五輪招致ファイル)

リオデジャネイロ五輪組織委、支出を3割削減へ
 リオデジャネイロ五輪組織委員会は、開催経費が36億ドル(約4320億円)を超えないための措置として、支出を最大30%削減することを決めた。ただし、パラリンピック含め50種目・参加選手1万5000人に及ぶ競技イベント開催には影響させないとしている。
組織委の広報担当マリオ・アンドラーダ(Mario Andrada)氏は、ブラジル国民は過大な支出を許さないだろうと指摘し、 「もはや派手にお金を使える時代ではない」とし、「経費を節約する工夫が必要だ」と述べた。
 組織委の予算は民間の資金で賄われており、競技場やインフラ整備などの投資的経費は含まれない。また、予算超過分の“赤字”をブラジル政府が補填する責務はない。
 オリンピック各競技の入場券販売は低調で、合計500万枚のうち現時点でわずか200万枚が販売済みとなっている。
アンドラーダ氏は、「財布のひもを締めなければいけない。人々は贅沢や過剰な支出に腹を立てる」と語った。

リオデジャネイロ五輪組織委の費用削減の内容
・開会式―3時間半に及ぶイベントの費用を削減。2012年ロンドン大会の1割になる予定
・プロモーションビデオはすべて内部の制作に
・入場券のオンラインくじを中止。すべてリボ払いが可能な公開販売に
・オリンピック施設の恒久的建築を減らし、テント活用を促進
・テストイベント(プレ五輪)での設備を削減
・参加者への英語レッスンなど、ボランティア・プログラムを当初予定の7万本から6万本に削減見通し
(出典 2015年10月6日 BBC ニュース)


水質汚染問題が深刻な問題に発展
 セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれている。
AP通信が7月に伝えた独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
 汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
 グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は昨年7月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われている。
 水質汚染問題の解決は、ほぼ“絶望”とする見方が強い。



ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
 
開催経費の約64%がレガシー(未来への遺産)に


オリンピック・パーク完成予想図 Rio2016 OCOG

 混迷を深めるブラジルだが、五輪開催への取り組み姿勢は意気軒昂である。
リオデジャネイロ五輪組織委員会は、リオデジャネイロ五輪の開催経費、382億レアル(約1兆2200億円)の64.4%の246億レアル(約7900億円)がレガシー(未来への遺産)のために使われ、レガシー・プロジェクトは、2009年に提出した招致ファイルと比べて、17から27に増加したとしている。
 IOCから賞賛されたレガシー・プロジェクトもある。オリンピック・パークの建設するハンドボール競技場は、改築されて4つの学校になる。ほかの競技場は、アスリートのトレーニング・センターや市民のレクレーション施設、国際会議場、展示ホール、イベント開催施設に改装し、レガシー(未来への遺産)とする計画である。
 リオデジャネイロのパエス市長は、リオデジャネイロ五輪はこれからの五輪の“手本”になるべきだと話した。
「リオデジャネイロはやらなければならない多くの課題がある。しかし、オリンピック開催は念願だったリオデジャネイロの変革をもたらすだろう。150キロメートルの都市交通システムBRT、Porto Maravilha、スイミングセンター、20キロメートルの地下鉄である。公的財源を使い過ぎないようにしよう! たくさんのレガシーを人々に残そう! 負の遺産(white elephants)を作らないようにしよう! 私たちは、オリンピック開催都市の“手本”になる」と述べた。
 リオデジャネイロ五輪の開催で、次世代にレガシー(未来への遺産)を残そうという強い意気込みがうかがえる。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックは、レガシー(未来への遺産)として何を残そうとしているのだろうか。
 2016年、正念場を迎えている。


(「月刊ニューメディア 2016年2月号 掲載 加筆)




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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)






2016年1月4日
Copyright © 2016 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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1 コメント

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一般財団法人日伯協会 (細江清司)
2016-05-06 10:40:20
この画像を当協会が行う企画展(入場無料)で使用したいと思いますが 許可いただけますか

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